強迫性障害を乗り越えた先に

強迫性障害が治る時、それは新たなスタートです。

精神腫瘍科の受診

皆さんこんにちは。もち丸です。

ついに今年も終わりですね~。とはいえ年末年始は家にこもることになりそうです。

やっぱり重症化リスクが高い家族がいれば、コロナに関して敏感になってしまいます。うつすのが怖いというのは当然ですが、もし自分が感染させて最悪の事態になったとしたら、「あの時自分があそこに行かなければ」と後悔すると思いますからね。

それでも自粛生活が長引き、先行きも見えないとなると心身も弱ってきます。

今私(達)に必要なのは、何かしらの希望なのではないかと思います。

 

さて今日は「精神腫瘍科」を受診した感想について書きたいと思います。

この精神腫瘍科という言葉、初めて聞いた方も多いと思います。普通に生活していたら聞かない言葉ですからね。

先日ブログでも書きましたが、最近この精神腫瘍科の先生に話を聞いてもらう機会があり、非常に有意義だと思ったのでご紹介致します。

 

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1、精神腫瘍科とは?

精神腫瘍科とは「がん」に特化した精神科医のことで、がん患者だけでなくその家族も対象としています。がん治療を行う比較的大きな病院に設置されていることがあり、がんに関連する不安や苦痛等に対してカウンセリングや薬物治療を用いながら、受診者の苦痛に寄り添ってくれます。

この精神腫瘍科と通常の精神科との違いは、がんの知識とがん患者の心理に精通していることです。そして精神腫瘍科は患者はもちろん、その家族が抱える苦しみも大切に捉えており、家族も保険診療で受診することが出来ます。

 

 

2、精神腫瘍科の意義

受診して思いましたが、この精神腫瘍科の存在意義は非常に大きいと思います。

もし治療において主治医との相性が良く、何でも話せる関係を築けているなら、精神腫瘍科を必要とはしないかもしれません。

ですが実際には診察時間も限られていますし、配慮が足りない医師や、質問しにくい雰囲気を出している医師も多く、不安や不満を感じながら治療を行っている人も多いようです。

そして何よりがん治療をしている患者と家族は、言葉に出来ない程の不安や恐怖を感じて当然で、心に暴風雨が吹いている状態とも言えます。

人によっては絶望し、疲労し、うつ病などの精神疾患になるほど追い込まれてしまう人もいるそうです。

 

だからこそがんに関わった人には、安心して全てを吐き出せる場所が必要なのです。

例え病気を治せるわけでないとしても、感じている苦痛をないがしろにせず、受け止めてくれる存在である精神腫瘍科は、非常に貴重だと思います。

 

 

3、私が受診した理由

私が精神腫瘍科を受診した理由は、このままだと自分が潰れてしまうと危機感を持ったからです。

何人かの友人には相談しましたが、がんを経験していない人には温度差を感じますし(当然ですが)、身内をがんで亡くした方の話を聞くのは辛いです。私の母は今生きているのですから!

 

さらにコロナの影響から外出も極力自粛している状況ですので、気分転換も上手く出来ていません。

私としても色々な本を読んだり、がんに関する交流サイト等を使って不安を軽減しようと試みています。ですが一度知識と理解がある人に話を聞いて欲しい。そう思って受診を決めました。

 

 

4、受診した感想

まず最初に私が抱えている罪悪感について聞いてもらいました。

私はずっと母に心配をかけてきたと思っています。その為母は長期間交感神経が過敏状態にあり、免疫力も落ちていたのではないかと思っていたのです。

そういったことを話していくと、先生は私が今一番言って欲しい言葉をくれました。

 

「根拠を持って言いますがストレスでがんにはなりません。お母様があなたを心配したからがんになったという因果関係はありませんよ」

「もちろんすっと入っていかないのは当然です。でもがん心理学の専門家として、そのことは責任をもってお伝えします」

 

そして話が進む中で母の病気の話から、今の自分が感じている苦しさにシフトしていき、散々振り返ったと思っていた父と母の話になりました。

大学受験の時の父との関係については以前ブログでも書きましたが、「お父さんのコンプレックスを、お父さんがやり残した課題をあなたは引き受けてあげたんだね。」と言われました。

yoneson.hatenablog.com

 

更に、

「あなたはこの条件をクリアしていないと自分は駄目だっていう条件が多いんですね。そしてあなたは自分で考えて行動するのが苦手だとも思っている。どうしてそう思うようになったんですか?」とも聞かれました。

そして私は昔母が厳しかったこと、門限に1分遅れただけでも家に入れてもらえなかったり、母が家の中でずっと不機嫌で居心地が悪かったこと。次第に自分のやりたいことよりも、母の顔色を窺って怒られない方向に自分を持っていっていたこと等を話しました。

 

すると

「それは強迫性障害になるでしょう。だって1分でも遅れたらあなたは大変な目に合っちゃうんですよね。そういう意味であなたが立ち止まらざるを得なかったのは、私は理解出来る気がするんですよね」

「凄い高いハードルを越えなきゃいけないっていうプレッシャーと、ハードルを越える力が自分には無いから誰かに助けてもらうしかない、そういう戦略をとらざるを得なかったんでしょう。いやぁ~大変でしたね」

 

更に「そういう意味であなたが苦しんでいるのは、あなたが弱いからではなくて理由があるわけです。親を責めても解決はしないですけど、責任の所在はお母さんにあるでしょ。お母さんにはあなたを抱擁する力がなかったんですよね。」と言われたのです。

 

この言葉に私はびっくりしました。「そんなこと言っちゃっていいのか?」と。

私は自分を振り返る過程で被害者意識を持つのを弱め、これからは自分の意思と決断で人生を作っていかなければならないと思っていました。

そして母が病気になってからは母のありがたみ、一緒にいられる幸せを感じるようになり、母のことはただただありがたい存在だと思うようになっていたからです。

 

「親に感謝するのはいいけど、無条件に全てをありがたがる必要はないですよ。やっぱり人との関係性の中で今の自分が出来たわけですからね。」

 

凄い有難かったです。母ががんになってしまったしんどさは変わりませんが、本当にありがたかった。心から受診してよかったと思いました。

 

 

5、薬だけでは絶望は癒せない

こんなにじっくりと話を聞いてもらえる診察は初めてでした。

確かに精神腫瘍科を受診する人は、苦しみを抱えています。その為本人の訴えをじっくりと聞くことなく薬を処方するだけでは、患者やその家族の苦しみに触れることは出来ません。

そして薄っぺらい励ましやアドバイスが、却って患者を傷つけてしまうこともあるということを分かっているのだと思います。その為通常の精神科医よりも、「傾聴」という姿勢を大事にしている印象でした。

その為もしがん治療を受けている方が苦痛軽減の為、通常の精神科を受診しても望むような対応はしてもらえないかもしれません。その点は注意した方がいいと思います。

 

また患者家族が「一番大変なのは病気になった人なんだから、自分は弱音を吐けない」と思う必要も全くありません。苦痛は比較出来るものではなく、その人が感じることが全てだからです。

もし現在がんに関する苦しみを少しでも和らげたいと思っている人がいたら、精神腫瘍科を開設している病院を調べてみるのもいいと思います。

 

 

6、最後に

いや~それにしても大変な一年でしたね。

自分の立場の不安定さもあると思いますが、行動が制限されるストレスや自分だけが我慢しているという気持ちから、普通に外出している人に腹を立てたりと、ネガティブな気持ちになることが多い一年でした。

 

それでも今年も本当に多くの方に支えられていたような気がします。

そして母が生きていてくれて、家族全員で年末年始を過ごせることを幸せに思います。

今年こんなに苦しい思いをしたんだから、来年は心穏やかに過ごせる年になってもいいんじゃないですかね(笑)。

 

さて来年2021年が皆様にとって、平穏な一年になることを心から祈っております。

皆様本当に一年お疲れさまでした。